鉄道は17年前に廃線、
1日3本走っていた路線バスもついこの間廃線、
最寄りのコンビニまでは車で30分、
最寄りのマックまでは車で2時間、
という田舎の限界集落の漁村に引っ越してきて
まる5年が経ちました。
ご近所さんには漁師さんがいたり、農家さんもちらほらいます。
杜氏さんやって農家やって漁業もする、パラレルワークな人も多々います。
で、今年はひょんなことから裏の山の中にあるりんご農園のお手伝いをさせてもらえることになりました。
今の時期、りんごは摘果の作業をします。
りんごはひと枝に5〜6個花が咲き、実(の赤ちゃん)がつくのですが、
その実を一つだけ残してあとは切り取ります。
これが摘果の作業です。
で、この時点でびっくりしたことが2つ。
育てる実が1/5〜1/6の確率だということ。
「そんなに取っちゃうの!???」とびっくり。
さらに、このりんご農園には500本くらい樹があるのですが、
それを農家さんひとりで面倒を見ているということ。
摘果の作業は、全部手作業です。
ひと枝ひと枝、手作業で実を残していきます。
これを…いままでひとりでやってたんか…このおとうさんは…。
とびっくりしました。(しかも専業じゃない)
さらにびっくりだったのが、この作業を最終的に4周やるということ。
この時点でめちゃくちゃ手間がかかっていたことを、初めて知りました。
これまでりんごといったら
「1個98円かー、安い。買おう。」
くらいにしか考えていませんでしたが、
この裏にある、農家さんの大変さを思ったら
もう98円の世界では生きていけなくなりました。
値段じゃないんだよ。
農家さんが手塩にかけている労力や、時間に敬意を表したい。(表して買いたい。)
現場に行って体験しないと見えてこないものってたくさんあると思っています。
そして経験をすると、その食べ物に対しての感謝の気持ちが自然と湧いてきます。
海藻を採ったり、サザエを採ったり、山菜を採ったり、自然の豊かさを感じること。
こんな気持ちを味わせてくれて、なんて豊かな土地なんだろうと思っています。
右から左に消費するだけの脳みそを使わないコンビニエンスな世界も楽でいいですが、
わたしは自分の手使って足使って、生きる力と生きた知恵を身につける世界の方が
かっこいいなと思うし、
”その背景にある事実”に触れるために、自分の時間を使っていきたいなとおもう今日この頃です。